この記事では、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得している方が、ハローワークで失業給付の受給手続き(求職申込)をするに当たって、どのような制度になっているのか、どのような手続きが必要になるのかについて解説しています。
障がい者の求職活動に関するポイントとしては、以下の通りです。
- 障がい者の失業給付は手厚くなる
- 認定日前日までの求職活動は1回でいい
また、当サイトでは、失業給付の受給期間延長の手続きについても解説していますので、延長解除に必要な内容についても併せて解説しています。
この記事では、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得している方が、ハローワークで求職申込、失業給付の受給手続きをするに当たって、知っておくといいことについて解説しています。制度がどうなっているのか、どういう手続きが必要かについても述べています。
障がい者の失業給付について
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得している方が、障がい者雇用枠で求職活動していく上で、どのような制度になっているのかについて解説します。
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得していて、障がい者雇用枠での求職活動を行う場合、就職困難者という扱いになります。この場合、失業給付の給付日数も通常とは異なってきます。どの位異なってくるのかについての詳細は、以下にハローワークへのリンクを載せておきます。
以下の表に、就職困難者の給付日数を示します。
被保険者であった期間 | 1年未満 | 1年以上 |
---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
この給付日数を見て頂ければわかる通り、一般の自己都合退職や会社都合退職(特定受給資格者)の場合と比べても、期間が長い事がわかります。
障害者手帳を持っている人がハローワークでの求職申込をすると、何が違うの?
通常の場合と違うのは、失業給付の給付日数が長くなることだね。
給付日数って、どのくらい長くなるの?
被保険者であった期間や、年齢によっても異なるんだ。ただ、被保険者であった期間は1年未満かそれ以上、年齢は45歳未満か45歳以上65歳未満という区分しかないんだ。
失業給付の給付日数って、通常だともっと複雑に分かれているよね。
そうなんだ。そして、通常の自己都合退職の場合や、会社都合退職の場合よりも、給付日数が長くなるんだ。
どうしてこういう違いがあるの?
障がい者雇用枠で求職活動をしている人は、就職困難者という扱いになるからだよ。
確かに障がい者雇用枠での求職活動って、難しそうだもんね。
そのため、失業給付の給付日数が長くなることで、長期的に求職活動に専念できるために、このような制度になっているんだよ。
当サイトでは、病気(うつ病)が原因で退職となり、その後求職活動をするという方をターゲットにした提案をしています。このような場合、自己都合退職になりますが、病気による退職だと特定理由離職者という扱いになる事が多く、その場合ですと、会社都合退職と同等の失業給付が受けられます。また、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得してから求職活動をする場合は、就職困難者という扱いになり、失業給付がより手厚くなります。
手続きの流れ
障がい者雇用枠で求職活動する上で、求職申込と、失業給付の手続きについて解説します。
ハローワークでの手続きとしては、求人申込と、失業給付の2段階で行われます。
手続きとしては、どのような流れになるの?
必要な手続きは2段階になっているよ。1つが求職申込、もう1つが失業給付に関する手続きになるよ。
これって、一般的な流れと同じような気がするけど、何か違うところがあるの?
求職申込の時に、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を持っている旨を伝えると、専用の窓口に案内されるんだ。後は、スタッフの指示に従って手続きすれば問題ないよ。ちなみに、障害者手帳のコピーを取られるので、必ず持っていこう。
まず、持参するものを以下に示します。
- 離職票-1、離職票-2
- 精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
- マイナンバーカード(通知カードまたは個人番号の記載がある住民票でも可)
- 身分証明書(免許証、マイナンバーカード、住民基本台帳カード)
- 写真2枚(3cm×2.5cm)
- 本人名義の普通預金通帳
- 雇用保険受給資格決定に係る病状申請
- 受給期間延長通知書
1項の離職票-1と離職票-2は、事前に記入しておく箇所があります。
離職票-1では、求職者給付等払渡希望金融機関指定届の欄に、氏名、住所、失業給付の振込依頼をする金融機関と口座番号を記入します。
離職票-2では、離職理由の離職者記入欄、具体的事情記入欄(離職者用)、離職者本人の判断を記入します。離職理由の離職者記入欄には、事業主記入欄の通りで問題なければ、それに合わせます。具体的事情記入欄(離職者用)には、事業主用の欄に記載されている通りで問題なければ、「同上」と記載します。離職者本人の判断には、ここまでの離職理由に問題なければ、異議なしに丸をつけます。最後に、離職者氏名に記名と押印をします。
2項の精神障害者保健福祉手帳は、障がい者雇用枠での求職申込の際に、コピーを取られますので、忘れないようにして下さい。
3項のマイナンバーカードですが、持っていない場合でも、通知カードか人番号の記載がある住民票でも大丈夫です。持っていれば、4項の身分証明書としても使用出来ます。
5項の写真は、縦3cm×横2.5cmのサイズで2枚必要です。手軽なのは、スマホで背景なしの状態で撮影して、証明写真を作るアプリでサイズ調整して、プリンターで印刷する方法です。パソコンの場合でも、証明写真を作るフリーソフトを利用すれば簡単にできます。
6項の通帳ですが、離職票-1に記載した内容と相違がない事を確認するため必要になります。
7項と8項は、失業給付の受給期間延長の手続きをした際に渡されたものになります。受給期間延長を解除するには、上記のものを持参して、失業給付受給の手続きをする事で、延長は解除されます。尚、7項については、通院の際に医師に書いてもらう必要があります。
失業給付に関する手続きといえば、傷病手当金を受給していて、その後に延長を解除するにも何か手続きが必要なの?
手続きそのものは、求職申込と失業給付に関する手続きに含まれるよ。但し、「雇用保険受給資格決定に係る病状申請」という書類を医師に書いてもらって、これを提出する必要があるんだ。あと、「受給期間延長通知書」も提出する必要があるよ。これにより、延長解除と同時に、失業給付に関する手続きをすることになるんだよ。
ということは、ハローワークに行く前に、通院する必要があるんだね。
失業給付の受給期間延長の手続きをした際に、「雇用保険受給資格決定に係る病状申請」という用紙が渡されたと思うけど、これを通院の時に持っていって、医師に書いてもらう必要があるんだ。これが、就労可能の証明になるってことだよ。
まずは求人申込の手続きからです。
ハローワークに行って、求人申込と失業給付の手続きをしたいと伝える際に、精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を持っている旨を伝えます。すると、一般とは異なる窓口に案内されます。そこで、障がい者専用の求人申込書に記入します。窓口で書きますので、わかる所まで書いて、後は窓口スタッフとヒアリングしながら書けば問題ありません。この後に、障がい者用のハローワークカードが発行されます。この際、主治医の意見書というものが渡されます。これは通院の際に医師に書いてもらいましょう。これをハローワークに提出する事で、障がい者雇用枠での求人紹介がされるようになります。
これに沿って手続きをすれば、もうハローワークに提出するような書類はないの?
実際にハローワークの求人に応募する際には、主治医の意見書というものが必要になってくるよ。これがないと、ハローワークから紹介してもらえないんだ。
なるほど。ただこれは、失業給付の手続きとは関係ないんだよね。
失業給付の手続きというより、求人申込の段階で、用紙が渡されるんだ。ハローワークに提出する期限は特にないけど、早めに提出した方がいいよ。いい求人が見付かっても、紹介してもらえないってこともあるからね。おすすめは、2回目の失業認定日までだね。
それはどうしてなの?
1回目の失業認定日には、雇用保険説明会への出席で、求職活動にカウントされるんだ。だけど、2回目以降の失業認定日までには、窓口相談したり、求人に応募しないといけないんだ。そのため、2回目の失業認定日までに、主治医の意見書を窓口に提出することで、1回の求職活動としてカウントできるからだよ。
主治医の意見書を提出する時期については、ハローワークからは早めに提出するように言われるだけで、特にいつまでと明確に決められていません。そこでおすすめなのが、1回目の失業認定日以降、2回目の失業認定日より前に提出することです。何故なら、提出のためにハローワークの窓口に行くため、求職活動としてカウントできるからです。
次に、失業給付の手続きです。
こちらは、窓口の指示に従って手続きします。すると、雇用保険説明会の日時と、最初の失業認定日が通知されます。関連した書類も渡されます。
尚、ハローワークによって対応が異なるかもしれませんが、2022年6月現在、雇用保険説明会は開催されず、代わりにインターネット経由で雇用保険説明会の動画を観る事になります。尚、インターネット環境のない方に対しては、ハローワークでDVDの放映を観る事になります。動画を観た旨を失業認定書に記載し、雇用保険説明会用DVD視聴申告書というものを添付すれば、雇用保険説明会に出席したのと同じ扱いになります。
就職困難者の求職活動実績は1回
求職活動実績について解説します。
通常、失業認定を受けるためには、認定日前日までに2回以上の求職活動実績が必要になります。しかし、就職困難者の場合は、認定日前日までの求職活動は1回となります。そのため、失業認定日にハローワークに行った際に、求人検索して、気になる求人があったら窓口で相談するという事をすれば、次回の失業認定を受ける事ができます。尚、気になる求人がなかったとしても、とりあえず窓口に行って、就職活動を進めていく上で不安に思っている事を相談してくるだけでも大丈夫です。
失業認定日までの求職活動が1回でいいんだね。
これに関しては、ハローワークで失業給付の手続きをした際に渡される、「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」に、求職活動が1回で認定されるケースとして、就職困難者という記載があるんだよ。
勿論、求職活動実績は、ハローワークでの窓口相談だけではありません。インターネットの転職サイトや転職エージェントからの求人応募も対象になります。但し、インターネット上での求人検索、転職エージェントサービスとのヒアリングは、求職活動の実績に入りませんので、注意して下さい。
終わりに
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)を取得している方が、ハローワークで失業給付の受給手続き(求職申し込み)をするに当たって、どのような制度になっているのか、どのような手続きが必要になるのかについて解説させて頂きました。
当サイトでは、退職~傷病手当金受給(失業給付の受給期間延長)という流れで解説してきましたので、このタイミングが訪れる時は、傷病手当金の支給が終了となり、医師が就労可能と診断した場合になると考えております。
ここで注意してもらいたい事があります。傷病手当金は、病気のためそれまでに従事していた仕事が出来ないという場合に支給されます。一方で失業給付については、週20時間以上の就労が可能な状態だが職がないという場合に支給されます。つまり、支給の条件は若干異なってくるのです。
そのため、前職ではフルタイムで働いていた人は、フルタイムで働けないから傷病手当金が支給される、週20時間以上の短時間勤務が可能と医師が判断すれば失業給付の支給対象になる訳です。
但し、傷病手当金と失業給付を同時に受給する事はできません。
ですので、傷病手当金の支給が終了するまでに労働習慣を確立させ、短時間勤務でも働けるような状態になってから、失業給付を受給するというような流れを意識しておく事が大切です。
関連記事
にほんブログ村
転職活動ランキング
コメント