この記事では、国民年金に関する制度の仕組みと、退職後に必要となる手続きについて解説しています。
会社勤めの時は、厚生年金の保険料として給与から引かれていましたので、あまり払っているという実感はなかったかと思われます。しかし、退職した後は、国民年金に加入して、自ら年金の保険料を支払わなければなりません。そのため、年金の仕組みがどのようになっているのかを知っておく事、退職後に何故手続きが必要なのかを予め知っておく事で、退職後に慌てるような事もありません。
また、退職して収入が激減して保険料が支払えないという方に向けて、免除制度についても解説しています。
この記事では、国民年金に関する制度の仕組みと、必要となる手続きについて解説しています。また、減免制度についても解説していますので、是非とも参考にしてみて下さい。
年金って、会社勤めの時は厚生年金の保険料が給料から引かれていたって位の認識しかなかったんだよね。
会社勤めしている人の多くはそう思っているよ。ただ、退職すると国民年金に加入して、自分で支払う必要があるんだよ。この機会に知っておくといいよ。
年金の仕組み
まず、年金の仕組みについて解説します。
年金には、20歳以上60歳未満の人が加入する「国民年金」と、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」があります。以下に、被保険者の種別毎に加入する年金の一覧について表にしました。
被保険者の種別 | 年金の種類 | 対象者 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 国民年金 | 学生、フリーター、自営業、無職 |
第2号被保険者 | 国民年金+厚生年金 | 会社員、公務員 |
第3号被保険者 | 国民年金 | 第2号被保険者に扶養されている配偶者 |
会社勤めの時は第2号被保険者でしたが、退職すると第1号被保険者になります。そのための手続きが必要になります。わかりやすく言うと、国民年金への加入手続きが必要になります。
退職したら国民年金に加入するって事だけど、何でその必要があるの?
年金には、国民年金と厚生年金の2種類あるんだ。そして、国民年金は、20歳以上60歳未満の国民に加入義務があるだ。これが、会社勤めだと、厚生年金に加入していたってことなんだよ。だから、退職したら、厚生年金は脱退扱いになってしまうので、国民年金に加入する必要があるんだよ。
国民年金について
国民年金について、保険料を中心に解説します。
国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての国民に加入義務があります。国民年金の保険料は、2022年時点で毎月16,590円です。支払うタイミングについては、毎月払い、6ヶ月分、1年分から選べます。6ヶ月分、1年分と支払った場合は、前納といって割引が適用されます。そのため、長期にわたって国民年金に加入する場合(言い換えると、暫く再就職しない場合や独立する場合)でまとまった資金があるなら、まとめて払った方が得になります。
支払い方法も、納付書をコンビニや金融機関の窓口に出す他に、口座振替(別途手続きが必要です)、クレジットカード納付、Pay-easyを使って支払いする事も出来ます。
国民年金の保険料って、いくら位なの?
年によって変わるんだけど、2022年時点で毎月16,590円になるよ。
厚生年金みたいに給料から引かれていると、あまり意識していなかったけど、こうやって見ると、結構高いんだね。
ただ、6ヶ月分、1年分をまとめて払う前納という制度を使うと、多少の割引があるんだ。
以下に、国民年金保険料(令和4年度)の、毎月納付と前納、現金納付と口座振替の場合の一覧表を示します。
1ヶ月分 | 6ヶ月分 | 1年分 | ||||
保険料 | 割引額 | 保険料 | 割引額 | 保険料 | 割引額 | |
毎月納付 | 16,590円 | – | 99,540円 | – | 199,080円 | – |
前納 (現金納付) | – | – | 98,730円 | 810円 | 195,550円 | 3,530円 |
前納 (口座振替) | 16540円 | 50円 | 98,410円 | 1,130円 | 194,910円 | 4,170円 |
国民年金への加入手続き
国民年金への加入手続きについて解説します。
国民年金への加入手続きは、お住まいの市役所等にて行います。手続きをするタイミングですが、退職後14日以内となっております。手続きの際に必要になるものを以下に示します。
- 年金手帳
- 退職証明書
- 身分証明書(運転免許証など)
- 印鑑
ここでいう退職証明書ですが、特に決まった様式はありません。退職日を明記された文書を会社に用意してもらうか、社会保険の資格喪失証明書といったものを提示する事になります。役所的には、退職日がいつか明記されていれば問題ありません。また、社会保険の資格喪失証明書であれば、資格喪失日が記載されていますが、それは退職の翌日になっているはずです。
国民年金への加入手続きって、どこでするの?
住んでいる地域の市役所、区役所、役場の窓口になるよ。
手続きに必要なものって、どういうものがあるの?
年金手帳、退職証明書、身分証明書、印鑑が必要になるよ。
退職したら、すぐにやる必要があるの?
退職後14日以内に手続きする必要があるよ。
手続きは、市役所等の国民年金を扱っている窓口に行き、渡された用紙に必要事項を記入する事になります。この際に、年金手帳の提示するのと、退職日を確認するために退職証明書のコピーを取られます。また、本人確認という事で、身分証明書も提示する事になります。
この際、扶養家族の配偶者がいるような場合は、併せて第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが必要になります。手続きは同時に出来ますので、配偶者の方も一緒に市役所等へ行く事をお勧めします。
窓口での手続きは、以上となります。意外とあっけない感じです。
そして、1~2ヶ月くらいすると、国民年金保険料の納付書が郵送されてきます。支払い方法は先述の通りですが、郵送物の中にも案内文が同封されていますので、その指示に従って保険料を支払う事になります。
保険料の支払いはどうやってするの?
後日、国民年金保険料の納付書が郵送されてくるので、それに従って支払いすることになるよ。
免除制度について
保険料の支払いが厳しいという場合について、免除制度について解説します。
所得が少ない時や失業等により保険料を納める事ができない場合には、本人の申請によって、保険料の納付が全額または一部が免除される制度があります。
退職すると、収入が激減してしまって、金銭的な余裕がないって場合もあるんだよね。
そういう人に対しては、免除制度があるよ。本人の申請によって、全額か一部を免除してもらうことができるんだ。
免除される代わりに、将来もらえる年金額にも影響するの?
免除の割合によって、2分の1から8分の7までと異なるんだ。とは言っても、全額免除でも、2分の1はもらえるんだよ。
支払をしないからもっと減らされるのかと思ったけど、全額免除でも半分はもらえるのは意外だな。
免除の申請もせずに保険料を支払わない、いわゆる未納の場合だと、まったくもらえないことになるから、支払が厳しい場合は免除制度も活用した方がいいよ。
そもそも国民の義務だし、本来は支払う必要があるんだから、支払が難しいような時は減免制度を上手く活用するのがいいんだね。
メリットとしては、収入が少なくなっている際に先述のような大きな支出を抑えられる事、未納とは違って年金の受給期間に含まれるという事です。
デメリットとしては、年金の受取額が減ってしまうという事です。どの位の影響があるのか、免除の割合と、それに伴う受け取る年金の割合を以下に示します。
免除の割合 | 受け取る年金の割合 |
---|---|
全額免除 | 2分の1 |
4分の3免除 | 8分の5 |
半額免除 | 4分の3 |
4分の1免除 | 8分の7 |
但し、免除された分を10年以内に追納という形で納めれば、通常通り年金を受け取る事が出来ます。
そのため、退職して収入が激減し、貯金もほとんどないというような場合は、免除の制度を利用しておき、再就職して経済的にゆとりが出てから追納するというようにする事をお勧めします。年金未納の状態になる事だけは絶対に避けて下さい。未納になると、その分の年金は全く受け取れなくなります。免除であれば、追納しなくても、先述の通り割合は少なくなりますが受け取る事が出来ます。
免除制度の手続きに関する窓口は、市役所等または年金事務所になります。
終わりに
年金の仕組み、国民年金への加入手続き、免除制度について解説させて頂きました。
会社勤めが続くと、年金のこのような仕組みを理解していなくても、毎月の給料から厚生年金保険料が引かれていますので、あまり意識していないという方も多いと思われます。そのため、本記事にて紹介したような内容は、実際に退職した後で知る事の方が多いのですが、事前に知っておくと、退職してしまったという際に慌てなくて済みます。
国民年金への加入は義務です。しかし、免除制度もあります。この辺りを上手く活用していくようにして下さい。
関連記事
にほんブログ村
転職活動ランキング
コメント