本記事では、障がい者雇用枠で求職活動をする上で必要な履歴書の書き方について解説しています。
求職活動をする上で、履歴書を書くのは必ず必要になってきます。ここでは、一般的な履歴書の書き方は勿論、障がい者雇用枠での求職活動をする上で必要となる記載事項についても、わかりやすく解説していきます。
そのためには、自分自身の障がいを理解しておく必要があります。自分自身の障がいと向き合うというのが辛いと思われる方も多い事でしょう。しかし、少しずつ進めていけば大丈夫です。そのため、履歴書の作成は、実際に求職活動を開始するより前に、なるべく早い時期から着手しておく事が望ましいです。
本記事では、求職活動に必要となる履歴書の、各応募先で使い回せる自分だけのフォーマットを作るという事をターゲットにしています。実際の求人応募の際には、求人先企業に応じた志望動機も必要になりますが、これについては別記事にて解説します。
この記事では、障がい者雇用枠で求職活動していく上で、履歴書をどのように書いていけばいいのかについて解説しています。尚、各応募先で使い回せる自分だけのフォーマットを作るという事をターゲットにしていますので、実際の求人応募の際には、求人先企業に応じた志望動機も必要になります。これについては別記事にて解説しています。
それでは、順を追って述べていきます。
履歴書のテンプレート
私が使用した実績のある、障がい者雇用枠用の履歴書テンプレートを公開します。
以下に、履歴書のテンプレートを載せておきます。
障がい者雇用枠で求職活動していく上で、履歴書ってどのように準備すればいいの?
まず、一般的な履歴書と違って、障がいに関する内容を記載するテンプレートを使用する必要があるんだよ。
履歴書のテンプレートって、検索すればいろいろとあるけど、障がい者雇用枠用って見付からないよね。
そういう方のために、この記事からテンプレートをダウンロードできるよ。実際に私が使った実績のあるものなんだ。
履歴書のテンプレートは、検索すれば色々と出てきますが、障がい者雇用枠用のものはなかなか見付かりません。そこで、実際に私が使用した事のあるものをテンプレートとして公開します。Microsoft Word形式のファイルです。
本記事では、このテンプレートに沿った形で述べていきます。
基本的な書き方
履歴書を書くに当たり、前提となる注意事項を以下に示します。
- 英数字を全角か半角のどちらかで統一する
- 文字のフォント、サイズを統一する
- 和暦か西暦のいずれかで統一する
- 学校、社名は正式名称で記載する
- 誤字脱字に気を付ける
学歴、職歴
学歴、職歴の書き方について解説します。
学歴は、中学校の卒業から始まり、高校の入学、卒業、以下、最終学歴まで記載します。要するに、義務教育が終わった時期と、それ以降の入学と卒業を記載する事になります。但し、公立ではない中学校に通っていたのであれば、入学と卒業も記載しておいた方がいいです。こうしておくと、中学受験を経験した事をアピールするためです。
職歴は、これまでの勤務先を、いつ入社していつ退社(退職)したのかを記載します。ここで、退社の場合ですが、退職理由も簡単に添えておく事をお勧めします。例えば、以下のような書き方になります。
- 一身上の都合により退社
- 早期退職者優遇制度により退社
- 契約期間満了により退社
- 傷病により退社
当サイトでは、うつ病で休職期間満了により退職してしまった事を想定していますので、この場合は「傷病により退社」としておけば大丈夫です。
何社か勤務経験がある方は、1社ごとに入社と退社を1行ずつ記載すればいいですが、1~2社程度の職歴であれば、職場内での異動の経歴も記載しておくといいです。大切なのは、なるべく余白を作らないようにする事です。余白があると、見た目だけで中身がスカスカだと受け止められてしまうからです。
最後の行には、右寄せで「以上」と記載します。
資格
資格欄の記載方法について解説します。
持っている資格は、もれなく記入する事をお勧めします。例えば、情報処理、MOS、TOEIC、英検、運転免許といったものになります。
但し、業務に関する資格を沢山持っているような場合は、そちらを優先して記載するようにして下さい。
記載する順序は、実際に取得した年月ごとに時系列で並ぶようにして下さい。
とは言え、このテンプレートだと7つ記載出来るようになっていますが、そんなに書くほど資格なんて持ってないという方も多いでしょう。そのような方は、例えば持っている資格が3つであれば、その3つだけ書いて、残りの行を削除してしまうというのも手です。その分、自己PR欄を追加するとか、後述する障がいに関する内容を詳細に記載するといった方法もあります。
障がいの内容
障がいに関する内容を記載するに当たり、どのように書いていけばいいのか解説します。
一般的な履歴書にはない項目ですので、ここについては詳しく解説します。
主に記載する事項としては、以下の通りです。
- 障がいの内容
- 手帳取得年月日
- 手帳の等級
- 障がいに関する現状と詳細
- 主治医の見解
順に解説していきます。
障がいの内容と分類
ここには、障がいとなる傷病名(診断名)を記載します。ここでいる傷病名(診断名)ですが、精神障害者保健福祉手帳を取得する際に医師に診断書を書いてもらいましたが、その中に記載されているものを記載するのが一般的です。
例えば、私の場合は一般的にうつ病となるのですが、精神障害者保健福祉手帳の申請にて書かれた診断書には、「気分変調症」と記載されています。よって、履歴書にも「気分変調症」と記載する事になります。
障がいに関して記載する欄、ここって具体的に何を書けばいいの?
障がいの内容には、実際に疾病している病名を記載するんだけど、精神障害者保健福祉手帳を取得する際に医師が書いた診断書に記載されている病名を書いておくのがいいよ。
例えば、普通に「うつ病」とかじゃなくて?
私の場合だと、診断書には「気分変調症」と書かれていたので、そのように書いたよ。
それって、何か意味があるの?
まず、自分がどのような病気(障がい)があるのかを、正確かつ客観的に見ることができるんだ。実際、この診断名によって、精神障害者保健福祉手帳を取得した訳だし。
また、分類については、精神、知的、発達、身体と様々で、身体の場合は更に細かく(例えば視覚、聴覚など)分かれています。当サイトでは、うつ病で精神障害者保健福祉手帳を取得した方を対象にしてますので、「精神」としておけばいいです。
手帳取得年月日
ここには、精神障害者保健福祉手帳を取得した年月日を記載します。精神障害者保健福祉手帳に、交付日が記載されていますので、その日付になります。
求人に応募する際に手帳のコピーを求められる事もありますので、ここは間違えないようにして下さい。
手帳の等級
ここには、精神障害者保健福祉手帳に記載されている等級を記載します。1級、2級、3級のいずれかが精神障害者保健福祉手帳に記載されていますので、それに併せて記載します。
障がいに関する現状と詳細
いつ、どのような症状が出て、それによりどのような診断を受けたのかを記載します。併せて、現状どのような状態なのかについても記載します。
差し障りのない範囲で、何が原因で発症したのかについても触れておくといいです。
とは言え、履歴書の該当欄に全てを記載するのは難しい事です。このため、ポイントを絞って、要点をわかりやすく簡潔にまとめる必要があります。
障がいに関する現状と詳細って、何を書けばいいの?
いつ、どのような症状が出て、それによりどのような診断が出たのかを記載するんだ。併せて、現在の状況も記載するんだ。例えば、「服薬管理により安定した状態を保っている」といった内容になるよ。
書く欄が限られているから、ポイントを絞り込んだ方がいいの?
ポイントを絞り込んで、要点をわかりやすく簡潔に記載するといいよ。但し、省略しすぎないように気を付ける必要があるよ。
結構難しそうだね。
そのためにも、自分の障がいについて、きちんと理解しておくことが大切なんだよ。ちなみに履歴書への記載は限られたスペースでしかないんだけど、面接になると、この点はより突っ込んだ内容を聞かれることになるよ。
自分の障がいについて、わかっているつもりでも、それを簡潔にとか正確にとか、場面によって表現するのは難しいってことだね。
そうだね。まずは、自分の障がいを正確に知ることから始めてみよう。
また、より具体的な内容を、別フォーマットで用意しておくという手もあります。これは、履歴書の補足資料というよりは、面接の場にて使えるようにしておくといいです。
主治医の見解
ここには、ハローワークで用意された「主治医の意見書」に記載されている内容に沿って記載します。例えば、週30時間の短時間勤務、2週に1回の通院といったような内容を記載すれば大丈夫です。
主治医の見解って、通院の時に医師に書いてもらうの?
その必要はないよ。ここには、ハローワークに提出する、「主治医の意見書」に記載された内容に沿って記載すれば大丈夫だよ。
尚、求人応募の際には、主治医の意見書も提出する事を求められる事もありますので、主治医の意見書に記載されている内容を簡潔に箇条書きしておくといいです。
配慮事項
配慮に関する内容について解説します。
「配慮」とはどういうものなのでしょうか?
「障害者の雇用の促進等に関する法律」には、以下の条項があります。
第三十六条の二 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」より引用
要約すると、事業主は障がいの特性に応じた配慮を提供することが義務となっています。これを、「合理的配慮」と言います。このような配慮を受ける障がい者は、障がいの特性上、こういった配慮がある事で、一般の人と同じように就労できるという事を求める必要があります。
ここで必要になってくるのが、履歴書に記載する配慮事項になります。この中で、どのような配慮を求めるのか、明確に示しておく必要があります。具体的には、オフィスの環境面、業務に関する事になります。
配慮事項って、実際に何を書けばいいの?
障がいがあるため、一般的な就労を行う場合、こういったことを配慮してくれると、普通に就労できますってことをアピールするんだよ。
例えば、どういうことになるの?
例えば、隣との席の間隔を開けて欲しいとか、短時間勤務にして欲しいとか、通院で休暇を取得したいとか、こういったことになるよ。
いくつか事例を出してみます。
- 隣の席との間隔を開けて欲しい
- 壁際の席で業務をしたい
- 電話の音量を最小にして欲しい
- 短時間勤務
- 通院に関する休暇の取得
そして、配慮事項ですが、なるべくなら全てを履歴書に記載するようにして下さい。
この配慮事項についても、ポイントを絞り込んだ方がいいの?
ここは、配慮して欲しいことは、全て記載した方がいいよ。と言うのも、後から色々と配慮を求めても、配慮が受けられないなんてこともあるんだ。なので、求人応募の段階で、こういった配慮があれば普通に就労できますってアピールしておくのが大切なんだよ。
配慮事項をたくさん書きすぎて、書類選考や面接で落とされるなんてことにならない?
そういう可能性もあるよ。ただ、ここは前向きに捉えよう。と言うのも、これで採用に繋がらなかったとしても、この会社ではそもそも求めている配慮を受けることができないと割り切ればいいんだよ。自分が必要な配慮を受け入れてくれない会社で働きたいなんて思わないでしょ?
確かにそうかも。配慮が必要だからして欲しいのに、それがないことで就労に影響が出たら、それこそ本末転倒だよね。
こう言うと、「こんなに配慮に関するオーダーをして、就職できないのでは?」と思われる方も多い事でしょう。しかし、応募する段階で配慮事項を洗い出しておかないと、実際に就職してから本当に必要な配慮を受けられなくなって、仕事が続けられなくなるといったリスクもあります。なので、配慮事項をたくさん記載したからって、それで採用に繋がらなかったとしても、この会社では求めている配慮を受けられないんだと割り切るしかありません。
終わりに
障がい者雇用枠で求職活動をする上で必要な履歴書の書き方について解説させて頂きました。
一般の求人応募とは異なる、障がい者雇用枠ならではの事があって、結構大変だなと感じた方も多いと思われます。しかし、障がいと向き合いながら就労していくには、障がいの特性をまず自分自身が理解している事が大切です。そのために、まずはどういう診断名がついているのか、その中で、自分にはどのような症状があって、それに対してどのように向き合っているのか、どのような配慮があれば就労に影響が出ないか、といった事を、1つずつ順番に洗い出していき、履歴書の中に落とし込んでいけば大丈夫です。
自分自身で障がいの内容と向き合うのは辛い事もありますが、体調に影響しない範囲で少しずつ進めていく事をお勧めします。
さて、ここまで読んで頂いた方は、障がい者雇用枠で求職活動をしようと考えている方だと思います。とりあえず、ハローワークでの求職申込はしたけど、実際にどうやって求職活動を進めようか、悩んでいる事でしょう。求職活動は、ハローワークの求人だけという訳ではありません。障がい者雇用に特化した転職サイト、転職エージェントを利用する事も検討してみて下さい。詳細は、以下の記事にて解説しています。
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